ベトナムで100日間インターンをしていた獨協大学出身の佐藤剛さんにインタビューさせていただきました。普段は大人しい印象の佐藤さんが海外インターンを決意した経緯、インターンでの学び、日本での就活、今後のビジョンをお話いただきました。高いハードルを感じながらも海外インターンを見事成し遂げた佐藤さんの話は、海外インターンに行こうか迷っている人たちの背中を押してくれます。
このページの目次
メディアを通じて国際問題を取り上げたい
自己紹介をお願いします。
獨協大学 法学部・国際関係法学科卒の佐藤剛です。大学では学内の広報誌の取材・編集活動に携わり、また新聞社でアルバイトをしていました。
メディアの仕事に興味を持ったのはいつですか。
学科では主に国際問題を多く取り扱っており、発展途上国の開発や国際協力に携わるような道に進みたいという気持ちが初めはありましたが、徐々にそのような問題を取り上げる側に興味を持ち始めました。
また、純粋に書くことが好きということもあって、大学1年の終わり頃から記者になりたいと思うようになりました。
現状を変えるための海外インターン
海外インターンに興味を持ったきっかけは何でしょうか。
海外インターンの存在を知る以前、2年の春休みに英語の先生に勧められてフィリピンに約2ヶ月間、短期留学していました。マンツーマンの授業から得られることはたくさんありましたが、同時に自分自身の英語力をもっと向上させたいという想いと、今の自分に物足りなさを感じ、このまま流されるように就活に突入していっていいのだろうかと違和感を覚えました。そこで3年が終了したところで休学を決意し、7月からもう一度フィリピンに2ヶ月間留学しました。当初は半年留学しようと思っていましたが、留学カウンセラーに海外インターンの存在を教えてもらい、興味を持ちました。
インターン先はどのように決定しましたか。
海外インターンの代理店に紹介してもらいました。インターン先に求める条件は2点ありました。1点目は東南アジアで働ける企業、2点目は取材・編集の経験が積めることです。以上2点に該当した企業として、スパイスアップベトナムを紹介していただき、社長とスカイプ面談をして決めました。
インターン先で働いてみた感想はいかがですか。
ベンチャー企業での働き方という点で、戸惑いやしんどさはありました。アルバイトは、あくまでも正社員の仕事をお手伝いするという感じですが、私が働いた企業では、インターンは正社員と同じように働きます。先輩からつきっきりで指導してもらえるわけではないので、自分のすべきことが分かるまでの数週間は大変でした。受け身の姿勢ではなく、常に積極的に仕事を作る、探す姿勢でいることが求められます。
仕事にやりがいを感じた瞬間を教えて下さい。
メインの仕事は編集作業で、スパイスアップ・ベトナムが運営している情報サイト、ベトナビの記事の編集業務を担当していました。代表が編集権限を完全に託してくれたので、段々と社内における自分の立ち位置が明確になり、会社に貢献できているという実感がわきました。編集という既に形あるものを整えていく点や、紙媒体と違い固定読者がいない中で、どのように潜在的な読者にアプローチをしていくかというウェブメディアに面白さを感じ始めました。
ベトナムで働く
日本人とベトナム人の国民性の違いを感じることはありましたか。
国民性で、日本人やベトナム人を一概に語ることにあまり意味はないと思います。特に仕事において、同僚やクライアントを理解しようとする姿勢が必要とされることに、国の違いはあまり関係ないと思います。
海外で働くことへの戸惑いはありませんでしたか?
メディアという分野に関していえば、日本でもベトナムでも取材から記事作成までのプロセスに大きな違いはありません。しかし海外インターンは、日本より裁量の大きい仕事を任せてもらえるのが特徴で、その点は驚きでした。
ベトナムで暮らす
ベトナムではどのような暮らしをしていましたか?
私は、3階建てのオフィスの2階に住んでいました。朝ゆっくり起きても遅刻しないのが最大のメリットです。
また、食生活は特に問題ありませんでした。初めはベトナム料理が自分の舌に合うかどうか心配でしたが、想像以上においしくて、それ以来、東南アジア料理が好物になりました。ローカルフード中心の食生活なら、食費もある程度抑えることができると思います。
休日はどう過ごしていましたか?
休日には、在越日本人のコミュニティに参加したり、日本で剣道をやっていたので、現地の大学の剣道部の稽古に行ったりすることもありました。幸い、現地で日本人やベトナム人の友人ができたので、人間関係においても困ることはなかったです。
海外インターン経験をどのように就活へ生かすか
就活を始めたのはいつ頃からですか。
そんなベトナムでの生活が終わって、日本に帰国したのが2017年1月。その後、1月下旬頃から就活を始めていました。様々な業種、業界の会社説明会に参加しましたが、やはりメディア業界に行きたいと思い、新聞社や出版社など30社程度、記者・編集者として働ける企業にエントリーしました。
語学留学や海外インターンの経験をどうアピールしましたか?
エントリシートや履歴書に留学や海外インターンでの経験を書きました。ただ、すべての面接官に留学や海外での勤務経験があるわけではないので、その経験をうまくアピールするのは難しかったです。大切なのは要点を絞って、伝えたいことをはっきりさせることだと気付きました。
私の志望していたメディア業界は、あまり海外インターンを評価してくれない傾向にありました。なので、休学期間中の短期留学や海外インターンの話題に偏り過ぎないように、エントリーシートや履歴書には国内での経験についても書くようにしていました。最終的には、専門紙を発行する新聞社で記者職として採用が決まりました。
内定先は、海外インターン経験を評価してくれましたか。
あくまで推測ですが、学生時代に頑張った一つの経験として、評価していただいたと思います。端的に言えば、1年間大学を休学をし、計画を立て実行に移した独立心と向上心。結果的に、社内の海外事業を扱う部署に配属が決まったので、短期留学や海外インターンの経験が考慮されたのかもしれません。
海外インターンでどんな力を得ましたか?
精神面で「根拠のない自信」を得ることができたことが大きいと思います。大学入学当初、まさか自分がベトナムでインターンをするなんて夢にも思っていませんでした。それだけ、当時の私にとって、現実味のない高いハードルでした。けれど、何とかそれをやり終えて帰って来られたという事実が、将来、私が何か勇気を絞り出さなければいけない場面にぶち当たったときに、背中を押してくれると信じています。
海外インターンに挑戦しようとしている人たちにメッセージをお願いします。
就職活動のためだけの海外インターンにはしないでください。就職活動も人生の中の一つの点に過ぎません。将来、人生を振り返ったとき、あの時が自分の人生の転換点だったといえるように力を出し切ってください。最初は海外でインターンをするということに多少の壁を感じるかもしれません。しかし、実際に未知の環境に飛び込んで、もがき続ける努力と向上心さえあれば何とかなります。その試行錯誤の過程があなたの糧になり、また新しい壁を乗り越えようという原動力になります。一つのことに挑戦すると、次の挑戦へ繋がっていくと思うので、その一つとして海外インターンにトライしてみてください。
最後に
佐藤さん自身、これからも記者の核となる能力と、英語を使って取材ができる能力を手に入れるために挑戦し続けるとおっしゃっていました。しっかりと未来を見据えた眼差しで、明るい未来を切り拓いていくことでしょう。