イギリスのエディンバラで長期インターンシップを経験されたキキさんにお話を伺いました。
大学3年生の9月から8ヶ月間にわたり、40人ほどの社員がいる現地の物流企業インターンシップで、事務作業やオンラインでの接客を担当されていたそうです。
イギリスに渡ってみると、そこにはたくさんの留学生がいる世界であり、ずっと日本で大学まで進んできたキキさんは衝撃を受けたと語ってくれました。
インターンシップの経験を就職活動にどう活かしたのか、というお話もして頂きました。
後半ではキャライズ編集部より就職活動についての補足も記載いたしましたので、是非参考にしてみてもらえればと思います!
このページの目次
海外インターンの経験を活かして内定を獲得するまで
留学組特有の就職活動の時期のズレ
日本に帰ってきてからは就活が始まりましたが、9月はじまりのイギリスと4月はじまりの日本では就活時期がずれ、当時は就活開始が早い企業などへは参加できませんでした。
そのため、留学組の全員がした卒業を1年延ばす方法を私も選択し、一つ下の学年と一緒に就活を行うことになりました。
インターンシップの経験を「一つに絞って」伝えたのが良かったと思います
就活で面接にまで行けたところでは、インターンシップでの経験のうち思い出深かったこと1つに絞って話しました。
あまりに濃い内容だったので、それを全て伝えるのは無理だと思ったからです。
私の場合、職場での環境が良く、教える人が朗らかで「ミスから学びなさい」と言ってくれたことを題材にしました。
本当にちっぽけなワンシーンですが、これに具体性を込めて伝えました。
この話の中で何がどのように評価されたのかはわかりません。採用・不採用にかかわらず面接官はその良し悪しを教えてくれないからです。
だから自己分析になりますが、私はやはり具体性に富んだ小さな出来事にまとめたところが評価されたのではないかと思います。
これをインターンシップ中に起こったことを全て詰め込んでみると、大きな自慢にはなるものの浅い話しかできなかったでしょう。
面接ではどうしても自慢に聞こえてしまうところがありますが、それ自体は悪いことではないと思います。
いかに自分が有能で御社で使える人材かをアピールする場が面接なのですから。
そこで小さな出来事を詳しく持って行けたのは良かったのではないでしょうか。
インターンシップの経験に関連して受けた質問は?
この話をした後には、他の指導係や職場の人達がどのような人だったのかという質問が来ました。
もしかしたら面接官も、海外の企業の内情に興味があったのかもしれません。
この時に私が日本の企業を知っていれば比較して答えられたのですが、まだ就職したことはなかったためイギリスの小さな支社で働いた事実を述べることしかできませんでした。
特によくしてくださった人たちのことを中心に述べ、その性格を述べてみました。
私が感じた、日本のような「お客様は神様です!」というへりくだった感じはなく、誰に対してもかなり平等に接している人が多いことを述べました。
これはお店の人達もそうです。
休日にお店へ出かけても、まるで友達に話しかけるように接してくれてなんだか嬉しくなりました。
思い切って、私はこちらの接し方の方が良いとも言ってみました。
日本の企業に対してこれは言うべきではなかったのかもしれませんが、つい本音が漏れました。
イギリスでのインターンシップを経て変わったこと
月並みな言葉ですが「視野が広がった」
大好きなイギリスでインターンシップをしてみて変わったのは視野の広さです。
ありきたりな言葉でそれ以外の程よくかっこいい言い回しがわからないのですが、これは本当のことです。
よく言われている月並みな表現ですが、実際にそうなのだと行ってみてわかりました。
インターンシップ参加前までは、私は日本生まれ日本育ち、外の世界のことなんて知らない世間知らずな人間でした。
義務教育を受けたら高校へ行って、その次の進路は大学か就職である、そんな風に周りが当たり前にすることを当たり前だと思っていました。
自分の進む道に常識なんて無かった
インターンシップ参加後には、この考えは根底から覆されました。
私が通っていたエディンバラ大学というのは、当時、今もそうかもしれませんが、留学生がとても多くてヨーロッパ各地やアジアなどから大学進学先として来た生徒が多かったのです。
この時点でまず相手の視野が広いと思いました。
大学進学先として海外の大学を選ぶ?私にはまったくなかった考えでした。
しかも、その方法を探して実行しているのもすごいです。
そして、その後友達は国連の職員になったり、オックスフォード大学院へ行ったり、東京大学大学院へ戻ったり、好きなことを好きなようにしていました。
大学を出たら就職という常識なんてなかったのです。
その周りの考え方に影響され、日本では知らず知らずにうちに自分の進むべき道を洗脳されていたのかもしれないと考えました。
それが悪いことではないものの、逃げ道を知らない過去の自分を少し怖く思いました。
もしその道から外れたら、視野が狭かった自分は自分を責めて皆と同じでないことを深く罪に思っただろうと。
今は日本に戻ったのでその周りに影響される生活に戻ったため、また視野が狭くなっていることに気づくことがあります。
その度に「いやいや!」とインターンシップ中に出会ったしたいことをしたいようにしている仲間を思い出し、周りに流されるだけが人生じゃないと言い聞かせています。
日本の常識は世界の非常識
仕事が嫌になったらやめてもいいじゃない。
逃げたくなったら逃げ道なんていくらでもある。
日本の常識は世界の非常識。
そんなことを思い返します。
私が知ったあの世界では何もかもが自由でした。
今はその世界を知ってしまったせいで少々生きづらいなと感じることもあります。
ですが、これからだってきっと何度もインターンシップで学んだたくさんの未来への道を思い返すでしょう。
これが私の心の支えとなり、生きやすくしてくれている要因であると思います。
これから海外インターンシップに行く人に向けて一言!
海外インターンシップは、ただ仕事をするだけでなく世界の広さに振れる機会だと思います。
色んな国の色んな考えを持っている人達と触れ合うことで、今後の自分の人生が豊かになれば良いなと願います。
頑張ってください。
キャライズ編集部よりコメント
キキさんは大学を通じて参加したイギリスでの長期インターンシップで「自由」を手に入れたとお話してくれました。
インターンに参加するに当たり、航空券20万円、寮費(食事含)70万円、保険20万円と100万円をこえる出費をされており、イギリスという国の物価の高さを乗り越えてでもその国から何かを学び取ろうという情熱もあったのではないかと思います。
実は私(編集部M)も先日エディンバラに訪れましたが、とても良いところでここに住めたら最高だろうなぁ、と思っていました。
さて、そんなキキさんの体験について「手に入れた自由」と「就職活動で一つに絞った経験」について補足のコメントをさせていただければと思います。
就職活動でインターンの経験をどう話すかの難しさ
海外インターンシップに参加して、本当に物事の味方も変わったし、自分が成長した!そう話してくれる方はたくさんいます。
そう語ってくれる方の目はとても輝いていますし、本当に素晴らしい経験をしているのだと思います。
もちろん、一つ一つすべての経験はとてもかけがえのない経験であり、その後の人生を豊かにしてくれることに違いないでしょう。
しかし、企業が就職活動(採用活動)においてどのような人材を欲しているのかを考えなければ、アピールするポイントを間違えてしまうかもしれません。
海外インターンシップでは自分の価値観が揺れ動く瞬間が数多くあるかもしれませんし、たくさんの困難にもぶつかっていくと思います。
あれも、これも、とたくさん話したくなる気持ちもとてもわかるのですが、キキさんのように「一つに絞る」ということは一つの方法としてとても有効です。
エピソードを具体的に話さないと伝わらない
海外インターンシップを通じて「どんな場面で」自分がどう成長したのか、という話を友人にしてみてもらうとわかるのですが、イギリスでの経験をイギリスに行ったことのない方に実際の場面を臨場感を持って伝えることはとても難しいことです。
面接官が私のように偶然「先日エディンバラに行ってましたよ」となる可能性は低いですよね。
しかも、私も観光で訪れているわけですから、現地のビジネス事情や商習慣に詳しい、なんて言うことはありません。
長期で海外インターンシップに参加しているうちに自分にとってある程度当たり前になってしまった現地の感覚を共有するためには、物事を具体的に話す必要があります。
物事を具体的に話すということは、発言の信憑性を高めてあなたの能力を面接官に適切に理解してもらうためにも必要なことです。
限られた時間の中で具体的に物事を伝えなければならない、そんなときにたくさんのトピックを伝えようとしてしまえば一つ一つのトピックが薄くなってしまいますよね。
また、これは一つのテクニックですが、続きが気になるように話せば「で、どうなったのですか?」と更に続きを聞いてきてくれるはずです。
面接官の仕事は「あなたがその会社に入ったとしたら、会社の事業に対して貢献できるかどうか」を見極めることです。
成功体験の話を聞けば「なぜそれができたのか」「再現性はあるか」「具体的になにの役割を演じたのか」など、知りたくなって当然でしょう。
それは圧迫面接などでは決して無く、実際にあなたが何ができる人間なのかを知るために必要な質問なのです。
実はあなたが「デキる」人材だと思われれば思われるほど、よりその話に興味を持って「それでそれで?」と自慢の経験について話をする時間をくれるものです。
(話している内容が具体的でないときも深く聞かれるものですが、具体的にイメージできるように話すことは大前提です。)
逆に「この話は広がりそうもないな」「このエピソードからは能力を測れないな」と思われてしまうと、別の質問になったりもします。
もちろん、面接官は聞かなければいけない質問が多数ありますから、他の話題になったからと言ってあなたの話がだめだったわけでは決してありませんのでそこは安心してください。
海外インターンシップの経験は国内での経験に比べても、伝わりにくいものです。
一つのエピソードに絞ることで具体的に伝えることができた、というキキさんの体験談は参考になることもあるのではないでしょうか。
なお、自分の意見を言うことに対する賛否は両方ありますが、個人的には意見はしっかりと伝えたほうが良いと思っています。
なぜなら、あなたの本音を認めてくれる会社に入社したほうがその後価値観の相違により辛いという思いをする可能性が低くなる、という入社後のことを考えるからです。
自分の価値観に嘘をついて入社したが、その後辛くなってしまいすぐに辞めてしまうという事例もよくあります。
自由な世界を知ったということ
キキさんは「日本の常識は世界の非常識」「私が知ったあの世界では何もかもが自由でした。」とお話してくれました。
実は「自由」というものはとても扱いにくいものです。
自由には必ず責任というものがセットでついてきます。
例えば東南アジアでは交通ルールがよくわからないことになっており、かなり自由に運転をしても捕まりません。そのかわり、事故に合う確率も高いでしょう。
例えば、フリーランスという働き方は労働時間も自由、誰と付き合うかも自由、全てが自由です。その代わり、収入が0になるという自由もあります。
うまくいかなかったときに、国や会社が責任をとってる、なんてことはありません。だって、自由に選んだ道なのですから。
企業で働くということは自由を失うということだ、そう考える方もいるかもしれませんが、その代わりに多大なる安心を享受しているのです。
何が言いたいかと言うと、自由を求めること、それ自体は私も自由だと思っています。
しかし、自由を求めた結果どのような結果になっても、それはあなた自身がなんとかしないといけないのです。
私達が出会う「自由に生きているように見える人」は、自由に生きている人の中の”成功している人”です。
その裏には、うまくいかずに仕事もなくなってしまった人もいるかもしれません。しかし、そのような人は出会わないから見えていないだけです。
自由のメリット・デメリットの両面を知って選択する
今、この瞬間から自由に生きるかどうかはあなたの選択ですし、その決定を最大限応援したい、そして一人ひとりが自分自身の人生を作っていってほしいというのはキャライズとしても本気で願っています。
しかし、「自由でない状態」にもメリットがあり、それを否定するのではなく、自分にとって「どの程度の自由」(≒どの程度の束縛・制約)が望ましいのかを考えてみると、自由という難しいものを扱いやすくなると思っています。
日本は自由では無い代わりに貧富の差が(そこまで)大きくなく、皆が豊かな国になることができました。
欧米諸国では自由なので大富豪になる人もいれば、貧困層の人も多いという国もあります。
どちらが良い、悪い、というのはなく、向き不向きの問題なのだと思います。
とても幸運なことに、いま日本人として生まれている私達はどう生きるのかを選択できる立場にあります。
自分にとって「自由」とは?せっかくなので考えてもらえればと思います。
最後に、未来の選択肢は限りなく自由にあります。
「仕事が嫌になったらやめてもいいじゃない。逃げたくなったら逃げ道なんていくらでもある。」
とキキさんはお話してくれました。
あなただけの人生、誰かのためではなく、あなたとあなたが大事にしたい人・モノのために全力で生きていくことを本気で応援しています。